· ガジェット · 5 min read
【レビュー】Bowers & Wilkins PI5 S2。圧倒的な所有感と、繊細な音質

この記事には広告が含まれています。
愛用していたイヤホンの不調。それがすべての始まりでした。
急遽、新しいパートナーを探さなければならない。市場には優秀なイヤホンが溢れています。機能で選ぶならSony、連携で選ぶならApple。正解はわかっているはずなのに、なぜか指が動かない。
僕が求めていたのは、「正解」ではなかったのかもしれません。
ふと目に留まったのが、Bowers & Wilkinsの「PI5 S2」でした。スペック表を見比べれば、他にもっと賢い選択肢はある。でも、理屈じゃない「何か」に惹かれてしまったんです。
それはたぶん、「所有する喜び」という、少し古風な感情だったのだと思います。
もしあなたが、効率よりも「心の豊かさ」を大切にしたいなら、この選択肢はきっと響くはずです。
工芸品のような佇まい

箱を開けた瞬間、空気が少し変わった気がしました。
光沢を抑えたマットな質感、計算された金属の輝き。それは単なるオーディオ機器というより、小さな工芸品のよう。AirPods Proが「洗練された道具」だとしたら、これは「愛でるための装飾品」に近い感覚です。

手に取ると、指先に伝わる確かな重み。 耳に装着する前に、しばらく眺めていたくなる。そんなガジェット、最近出会っていなかったなと気づかされました。
繊細さを纏う音
肝心の音はどうだったかというと、これがまた「繊細」なんです。
低音がどうとか、解像度がどうとか、そういう分析的な聴き方を拒むような、まとまりのある音。最初は少し硬さを感じたけれど、時間を共にするにつれて、角が取れて馴染んでいく。
ヘッドホンのような圧倒的な音場があるわけではないけれど、耳元で丁寧に音楽を奏でてくれる。その距離感が心地いい。

不便ささえも、愛おしい
もちろん、完璧ではありません。
ノイズキャンセリングは「静寂」と呼ぶには程遠いし、外音取り込みの切り替えはアプリが必要で少し面倒。本体だって、最近のモデルにしては少し大ぶりです。
でも、不思議とそれが嫌じゃない。 「手のかかる子ほど可愛い」なんて言うと大袈裟かもしれないけれど、その不器用さが逆に人間味(機械味?)を感じさせてくれる。
それに、USB-Cやワイヤレス充電といった現代的な作法はしっかり心得ているから、日常で困ることはないんです。

「気分」を変えるスイッチとして
結局、僕はこのイヤホンに何を求めていたのか。
それは「音楽を聴く機能」以上に、「身につけることで背筋が伸びる感覚」だったのかもしれません。
良い時計や、気に入った靴を身につけた時のような、あの感覚。 B&W PI5 S2を耳に挿す。その行為自体が、日常のスイッチを切り替える儀式になる。
スペックだけでは測れない価値。 効率やコスパばかりを追いかけて疲れてしまった耳に、この「工芸品」は、とても優しく響くのです。
日常に、ほんの少しの贅沢と静寂を。 このイヤホンは、あなたの時間をより濃密なものに変えてくれるでしょう。
